こんにちは、元科捜研のflusです。
今回は、理系出身者が多数を占める科捜研では珍しく、文系出身が多く在籍する文書鑑定科と心理科の業務内容について紹介します。
それではさっそく文書鑑定科から見ていきましょう。
文書鑑定科の業務
文書鑑定科の主な業務は筆跡・偽造印刷物・偽造通貨の鑑定などがあります。
筆跡鑑定
筆跡鑑定とは、手紙や書類などの証拠資料に残された筆跡が被疑者によって書かれたものかどうか判定することです。
筆跡鑑定は鑑定人の経験の比重が大きい分野なのですが、最近でば統計的手法を用いた研究も始まっていて、今後ますます客観性を重視した鑑定にシフトしていくと思われます。
偽造印刷物・偽造通貨鑑定
パスポートや免許証といった公的書類などが偽造されたものかどうかを判定するのが偽造印刷物鑑定、紙幣や硬貨などが偽造されたものかどうか判定するのが偽造通貨鑑定です。
なお最近の紙幣や硬貨は最新技術を用いて偽造防止対策がなされていますが、偽造技術も向上しているため、一見しただけでは本物かどうか判別できないレベルの偽造紙幣もあります。
そういった背景から、科捜研職員は日々鑑定技術を磨いていく必要があるのですね。
その他
上記した以外にも
- 印影鑑定(はんこが偽造されたものかどうか)
- 不明文字鑑定(塗りつぶされて判別できなくなった文字を検出)
などの鑑定を行なっています。
文字や印刷物に関する鑑定を広く扱っているのが文書鑑定科という認識でいいと思います。
続いて心理科について紹介していきます。
心理科の業務
心理科の主な業務はポリグラフ検査による鑑定です。
ポリグラフ検査
ポリグラフ検査とは、被験者(被疑者や参考人など)の生体反応を測定することで、被験者が事件や事故の情報を知っているかどうか判定するものです。
科捜研の中で唯一、鑑定対象として人を扱う科なので、物を鑑定対象とする他の科とは毛色が異なります。
また、被疑者像の推定や居住地の推定などを行う犯罪プロファイリングを行なっている県もあります。
採用について
文書鑑定科と心理科の2つの科は大規模県以外では兼務のところが多いです。
そのため、採用試験に応募する際は募集要項や業務内容をしっかり確認しましょう。
文書・心理を兼任している都道府県の一部では、心理系学部出身者のみを募集するところもあります。また文書と心理が分かれている県であっても、文書鑑定科職員としての採用を行わずに心理科職員として採用し、入所後に文書鑑定科へ異動させる県もあります(一年目に心理の研修を受けて二年目に文書の研修を受けて文書に配属など)。
一部の都道府県では、心理科の応募要件に『心理学を専攻した人』という条件を課しているところがあります。
そのため、「大規模県で文書鑑定科専任として働きたい」という強い希望がない限り、大学では心理系学部を専攻するのが良いと思います。
さらに大規模県における文書鑑定科の採用試験では、専門試験で工学関係の問題が出る都道府県があるので、特に文系の方は試験範囲に注意が必要です。
いかがでしたか?
みなさんが科捜研の文書鑑定科と心理科について少しでも知ることができたのであれば幸いです。
今回も最後まで読んでくださり、どうもありがとうございました。
法医科、物理科、化学科の業務内容は以下の記事をご覧ください。
[…] ★科学捜査研究所 心理・・・たとえば、事件の関係者、被疑者に対するポリグラフ装置を利用した心理鑑定、検査及び研究並びに犯罪者プロファイリングに関する研究をおこなったりするようです。調べた限りですが、どちらかとうと、実験心理的な要素も強いのかな?という印象です。(参考HP:神奈川県警、科捜研になろう) […]