こんにちは、元科捜研職員のflusです。
この記事では、元科捜研職員が「科捜研に興味がある人けどほとんど知識がない人」や「科捜研の受験を考えている人」、「科捜研になるためにはどうすればいいのか分からない人」などに向けて、科捜研のなり方や主な業務などを解説します。
科捜研とは
科捜研の正式名称は科学捜査研究所といい、科学的な手法を用いて犯罪現場から採取された物の検査などを行なっています。
科捜研は各都道府県ごとに一つずつ設置されていて、それぞれ以下に示すような科があります。
各科にはそれぞれ学術的な専門領域を持っていて、それぞれの科が得意とする科学的手法を用いて事件や事故の解明を行ったり捜査の支援をしています。
科捜研職員になるには
科捜研職員は地方公務員なので、各都道府県警察が行う採用試験を受験し合格する必要があります。
警察官とは採用枠が異なり、科捜研職員としての採用となるため、警察官採用試験を経て警察官として採用されたのちに科捜研に異動するということは基本的にありません。また、科捜研職員は警察官ではないので、警察官の特権である捜査権や逮捕権などはありません。
応募方法
科捜研の採用試験に応募するためには、以下の2つのハードルがあります。
- 自分が受験する年に、自分が行きたい都道府県で科捜研の募集があること
- 募集があった場合、自分の出身学部学科で学んだ専門領域と募集している区分(法医科・化学科など)が一致していること
もちろん受験できる都道府県が複数ある場合でも、試験日程が被っている場合はどれか一つしか受験できません。
例① 生物系学科出身者の場合
- A県の法医科で募集がある→受験可能
- B県の物理科で募集がある→自分が学んできた専門領域と違うので受験不可
例② 心理系学科出身者の場合
- C県とD県で心理の募集がある。しかし一次試験の日程がどちらも6月23日→C県またはD県どちらか一方しか受験できない
- 7月にE県、9月にF県、12月にG県で心理の募集がある→全て受験可能
各都道府県毎年募集がかかることはほぼなく、数年に一度人員が空いた時に募集がかかります。自分が行きたい県で対象の科の募集があれば良いですが、募集がない場合はその年の受験は諦めるか他の県の採用試験に応募するしかありません。
採用試験科目・倍率
採用試験は基本的に筆記試験(教養試験・専門試験)と面接(一部論文試験)が課されます。
不定期の募集であることに加え、募集があったとしても採用人数は基本的に1人なので、採用試験の倍率は高くなりがちです。
応募条件
科捜研採用試験の応募条件は
- 大卒程度(一部修士卒以上)
- 業務に関連する学部学科出身
- 30歳以下
である場合がほとんどです。しかし、最近では年齢制限が緩和される傾向にあり、一部の都道府県では35歳まで受験可能となっています。
科捜研の主な業務
科捜研は警察組織の一部に所属していることからも分かるように、犯罪に関わった物や人体組織などの検査(鑑定)や分析技術向上のための研究を主な業務としています。
鑑定とは物の真偽を判定するという意味ですが、科捜研の業務においては、犯罪に関する物や人体組織などを分析することで、それらの成分や個人を科学的知見を用いて特定することと言えます。
鑑定の例
- 『犯罪現場に遺留された物に付着したDNA型』と『被疑者(容疑者)のDNA型』が一致するかどうか鑑定(DNA型鑑定)
- 押収されたドラッグが違法薬物かどうかを化学分析
- 『防犯カメラに写った人物』と『被疑者』が同一人物かどうか鑑定(画像鑑定)
科捜研における研究業務は、日々の鑑定で今まで技術的にできなかったことをできるようにしたり、新しい鑑定方法を発明したりすることがメインです。
職員は鑑定に関する研究成果の発表をする場である法科学技術学会のほか、業務に関連する学会に入会し、積極的に研究成果を発表しています。
まとめ
以上をまとめると
- 科捜研とは、各都道府県警察に設置されている機関
- 科捜研になるには、各都道府県警察の募集状況を調べ、自分の出身学部学科に対応する区分で募集があった場合に、それぞれの都道府県ごとに行われる採用試験に応募して合格する必要がある
- 採用試験は毎年行われる訳ではなく、募集があったとしても基本的に一人しか採用しないので倍率は高くなりがち
- 鑑定と研究を主な業務としている
ということでした。
このサイトではこれから科捜研を目指す人に向けて、元科捜研職員である私が受験体験記や科捜研採用情報などを紹介しています。科捜研を受験する際の参考にしていただけると幸いです。
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